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議論

【必読】今日から脚本家 第3章

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第3章 M先輩の話



さて。ここでひとつ、
僕の脚本家生活に大きな影響を与えた
M先輩という演出家についての話をしてみよう。



この人はすごい。


とにかくすごい。


何がすごいって容赦がない。



「はい、この台詞カット」
「はい、このシーンいらない」
「はい、ここからここまで書き直し」



人が寝ないで書いてきた脚本を
平気で削ってくるし、
書き直しを命じることに何の躊躇も遠慮もない。



脚本といえば、
書き手のこだわりや苦労の集大成な訳ですよ。
そんな内心を斟酌しない物言いに

「何てひどい先輩なんだプンプン!」

と、若かりし当時の僕は
非常に憤慨していた次第ではありますが‥



その指示の一つ一つのベクトルが
「お客さんを楽しませる」という目的に向かっている ―

そうしなければ面白くないんだ
そうした方がより良くなるんだ

― と理解してからは、

少しは素直に人の話を聞けるようになった、と思う。




今になって振り返ってみると、
自分の脚本にダメ出ししてくれる人間が居るというのは
実は相当に恵まれてた環境だったんじゃないかな?

脚本の不備を指摘し、改善案を提示する ―
そんな「編集」ができる人材は得難く、貴重です。
もしかしたら、脚本家そのものよりも
生まれにくく、育ちにくいのかもしれない。


だから、多くのアマチュア脚本家は
この「編集」というプロセスを経験しないし‥
それは「未完成品」が世に出る事を意味します。

不幸なことです。




ひょっとして、
脚本家自身に、そしてその周辺にも
「脚本は書き直すもの」という文化自体がないんじゃないか?
という懸念があります。

「俺の作品にケチをつけるな」
等と宣う脚本家は三流だし、
(僕が二流だからそれ以下だ)
「脚本家に意見するなんて恐れ多いですぅ」
なんて考え方も解らないではないけれど、
それはそれで
自分達の人間関係を優先してお客を見捨てた
と問われれば反論のしようもないはず。

双方とも、果たして
お客により良い作品を提供する努力を放棄している
という自覚があるかどうか。



まぁもちろん、意見するからには
的外れなイチャモンやただの感想文では困る訳で。
何がどう悪いかを説明できる理論武装と
だからどうするべきだという具体的な提案が必要です。

となると、ちょっと敷居が高く感じるかとは思いますが、
「意見してはならない」という既成概念自体は
絶対に間違っているんだと認識してください。





そもそも、
脚本家は「先生」なんて呼ばれるけど
その実、決して「先生」なんかじゃない。


奴隷ですよ。

演劇の奴隷であり、劇団の奉仕者だ。


どんなに脚本に心血注いだって
スポットライトを浴びたり拍手を受けたりするのは
役者であって、脚本家自身は踏み台でしかない。

地道な作業、日陰の存在。
惨めな境遇。

あるのは、自分の作品を世に出せるという
ささやかな自己満足と
自分がこの公演の出発点であり土台であるという
たった一つの矜持だけ。


そして。
それがあるべき姿。


より良い舞台を作るために
奴隷に徹する。奉仕者として全力を尽くす。

それが脚本家の真の姿。
それが出来るかどうかが脚本家の手腕。



決して偉くない。華々しくもない。
もし「先生」と呼ばれてチヤホヤされたいのなら
どうか別の道を歩んでほしい。





M先輩も僕の事を「先生」と呼んでいたけれど‥

あれは年少者の僕に対する揶揄だったのか。
それとも、内なる苦悩を汲んでの敬意だったのか。

今となっては確かめようもない事を、
この文章を書きながら、ふと考えたりしています。



第4章に続く。
 

 

 

 


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